用語・略語集
透析患者の検査値 @
どこの透析施設でも、月2〜3回の採血をし、その検査結果が報告されていると思います。今号と次号で主な検査項目の簡単な説明と、透析患者における目標数値を記し、透析における自分の検査値をより深く理解し、食事を含めた日常生活(透析生活)の一助になればと思います。
尿素窒素(BUN)
腎機能の大きな指標に使われます。また蛋白摂取量の増加・消化管出血・重症な感染症・火傷脱水などでも異常値を示します。透析においては、尿毒素がうまく除去されているか、またタンパク質の摂取の指標になります。
透析前の指標は 70〜90mg/dl以下
血清クレアチニン(Cr)
BUNと同じ腎機能の指標としてもっとも用いられます。またクレアチニンの98%が筋肉内に存在するため、その人の筋肉量も反映します。
透析前の目安は、男性で12〜15mg/dl 女性で10〜13MG/dl
カリウム(K)
生体内のKは、心筋の活動、神経や筋の興奮性、浸透圧,酸塩基調節等に重要な役目をはたしています。
透析者では低K血症になることは稀ですが、食事によるKの過剰摂取による高K血症になりやすく注意が必要です。
透析不足等でも高K血症になることがあります。
高K血症の症状は、6.0で嘔吐、吐き気、倦怠感、しびれ等が見られ、7.0〜8.0で脱力感、四肢筋や呼吸筋の麻痺、不整脈の出現そして心臓が止まる等の重篤な症状を引き起こします。低K血症(3.0以下)の症状は、脱力感、筋麻痺、不整脈等が出現します。
透析前の値として3.5〜5.5mEq/Lで6.0mEq/L以下を目標にしたいものです。
無機リン(P、lP)
リンは骨格の主要成分であり、細胞構成の成分でもあり、またエネルギー代謝にも関与しています。高P血症は、二次性副甲状腺機能亢進症の骨・関節病変の発症や進行の大きな原因となるため、リンを含んだ食事の摂取には充分に気を付けましょう。
透析前での基準値は4.0〜6.0mg/dl
カルシウム(Ca)
低Ca血症が続くと、二次性副甲状腺機能亢進症の発症や進行をもたらすので、ビタミンDの服用やCa製剤の服用の検討が必要になります。しかし透析での補充に加え、透析患者さんの多くは炭酸Caを内服しているため、Ca製剤やCa添加食品をわざわざ食べる必要はない場合が多いと思われます。
透析前基準値は8.4〜10.0mg/dl(mEq/Lの単位表示では4.2〜5.0mEq/L)
前述した無機リンとカルシウムの積が60以上になると関節周囲や血管壁の石灰化(異所性石灰化)の頻度も多くなりやすくなります。CaとPの積が55以下を目標にすると良いと思います。
ヘマトクリット値(Ht)
Ht値は赤血球容積を示し、赤血球の全容積が全血液中に占める割合(%)で表します。従ってHtは貧血の程度を知るうえで大切な検査項目です。
透析患者において、貧血の改善の目標値は、一応Ht値30%前後ですが、その設定は個人により異なります。28〜35%が目標です。
透析における基準値の設定は、その施設や医師の考え方によって微妙に違います。自分の検査値を理解する時に、その施設が用いている基準値を主治医にしっかり説明してもらい自分の検査値を理解して頂きたいと思います。
最終更新日:2003年9月25日
作成:K.Atari