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自分の命は自分で守ろう

 最近、医療ミスを伝える報道が連日、私たちの耳目に飛び込んでくる。透析医療についても例外ではない。5月25日、千葉の県立病院に入院中の60歳代の男性が、透析装置の操作ミスによる空気塞栓で亡くなられたという。また、その一週間前の5月18日には静岡県の透析施設で肝炎の集団感染事故が発覚している。同じ治療を受けている患者として、なんともやりきれない気持ちでいっぱいだ。

 肝炎の集団感染事故は昨年5月、兵庫県の透析施設において6人の患者さんが亡くなるという重大な事故が起きており、その後も数カ所の透析施設で院内感染があったことが明らかになっている。相次ぐ肝炎の院内感染に全腎協は声明文を発表し、事態を重くみた厚生省も「透析医療における標準的な透析操作と院内感染予防に関するマニュアル」をつくり院内感染予防を喚起している。

 こうした院内感染事故は感染源は特定できても、感染経路の解明はいつもあいまいで、痛ましい事故が繰り返されている。治療行為に手抜きやミスがあったからこそ医療過誤(感染)という事態が発生する。医療者がそれに気づかないということは考えられない。進んで感染経路の解明に協力する義務があるのではないか。今後、医療過誤を起こさないために自覚を促したい。

 ともあれ、医療過誤は次々に起きている。原因の解明と事故の根絶は望むところだが、われわれ患者としても座しているわけにはいかぬ。病気の知識だけではなく、いまや透析の治療行為そのものにも関心をもっていく必要がある。不審な点は積極的にスタッフに説明を求めていくような姿勢が必要だ。自分の命は自分で守らなくてはならない。

(森)

東腎協  2000年7月25日 No.134

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最終更新日:2001年3月18日
作成:S.Tokura