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2000年頭あいさつ

障害者施策の危機を乗り越え勇気をもって前進しよう

東腎協会長 糸賀久夫

 新年あけましておめでとうございます。2000年の年頭にあたり、会員の皆様には、ご健勝で新春をお迎えになられたことと存じ、謹んでお慶び申し上げます。

 千年紀と言う歴史的な節目を迎えました。まだまだ遠い未来のことと思っていましたが、私たち透析患者の多くの人が苦しい治療を続けながらも、2000年の世の中を覗いてみたいと一日一日大切に生きてこられ、感激もひとしおと思います。

 私たちの透析人生を振り返りますと、医療スタッフをはじめ、家族、友人など実に多くの方の支えがあって現在の生命があることに気づかされ、感謝の念を深くします。

 昨年は、長びく不況の中、企業の再編が本格化した年でした。また失業者も4.9%と戦後最悪の状況が続き雇用創出が叫ばれております。

 少子高齢化が進行し、2000年4月を目途に医療保険抜本改革を行なうとしてきた厚生省ですが、医師会や健保連などの利害も複雑にからんで、一向に進まない状態が続きました。しかし、昨年一二月一九日診療報酬改定だけが全体で0.2%アップすることで決着し、抜本改革は先送りとなり患者への負担だけが重くのしかかる内容となりました。

 また、介護保険のスタートも2000年4月にせまり、保険料の軽減など連日のようにマスコミを賑わしていますが、当事者である要介護者の声がどれだけ届いているのか疑問が残ります。私たちは、移送サービスをメニューに加えてほしいと各自治体に要望してきましたが実現には、至っていません。

 さて、首都東京では、「NOと言える東京」を旗印に昨年4月石原知事が誕生し注目を集めました。

 東京都は、「財政再建推進プラン」を7月29日に発表、引き続いて8月3日には、「福祉施策の新たな展開」を発表、「聖域をもうけずすべての事業について存続を含めて根本的な見直しを行なう」としております。

 東腎協では、結成以来最も厳しい時代に突入したとの認識のもと財政再建で心身障害者(児)医療費助成(マル障)や心身障害者福祉手当などの障害者施策が切り捨てられることは、容認できないと次のような活動を展開してきました。

  1. 障害者施策の継続・発展を求める請願書(団体署名)、89患者会から提出。
  2. 石原知事宛の要望書・「私の願い」には、3708名分の切実な願いを提出。
  3. マル障、福祉手当継続・発展の請願書(署名第一次67,004名分)提出などをはじめ、都議会各会派へ要望、都民広場での座り込み集会と、他の障害者団体と共に闘ってきました。
通常、知事の予算査定は、1月初旬からですが、福祉施策については、都議会や区市町村が「年内提示」を強く求めたため、「前倒し査定」となりました。その結果12月21日、福祉施策の見直し最終案が発表されました。その中で、マル障の修正内容は、低所得者本人(住民税非課税)の外来分が現行通り無料の扱いとなりました。

 今後は、2月から始まる第一回定例会議へと舞台が移されます。最後まで、マル障、福祉手当等障害者施策の継続・発展を求めてねばり強く活動を続けますので会員の皆さんのご支援をお願いします。

 おわりに、21世紀を目前にして、私たち、透析患者にとって、医療保険抜本改革、介護保険、年金改正と、自己負担が重くのしかかることが予想される改正が目白押しです。

 透析人生を送る私たちにとっては、決して安心できる状況にはありませんが「病気が人を育てる」と言うように、苦しい療養生活の中から多くを学び、共に団結して前進しましょう。

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最終更新日:2001年3月16日
作成:S.Tokura