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2001年頭あいさつ

東腎協のさらなる前進を願って

東腎協会長 糸賀久夫

糸賀久夫の写真

 新年あけましておめでとうございます。

 新世紀のスタートにあたり、会員の皆様には、ご健勝で新春をお迎えになられたことと存じ、謹んでお喜び申し上げます。

 昨年は石原都政下で、現実に、はじまった福祉切り捨ての数々が、 私たち透析患者に重くのしかかってきました。具体的には、心身障害者医療費助成(マル障)は九月より本人の所得制限が強化され、新たに老人保健法に準じた一部負担を導入しました。(住民税非課税の方は、入院時食事代のみ自己負担)さらに、新規六五歳以上の方は対象外となりました。 東京都医療費助成(マル都)の特殊医療(人工透析)は九月から入院時食事代が自己負担になりました。

 心身障害者福祉手当は八月より 所得制限が強化され、新規六五歳以上の方は、対象外となりました。その後、一二月に改正が決まった老人保健法の一部自己負担の見直しはマル障の一部自己負担対象者にもはねかえり、さらに負担が重くなります(但し、薬剤費一部負担は廃止)。

 二一世紀に入り、夢や希望のある社会を願いたいものですが、現実には、高齢化社会のプロセスの中で、医療保険の抜本改正をはじめ、年金財源の悪化、介護問題、医療事故の続発など多くの課題が前世紀から引き継がれ厳しい、新世紀の幕開けとなりました。

 また、透析医療の環境も全国の透析患者が二〇万人の時代に入り、長期透析による合併症、糖尿病性腎症による透析導入者の急増、肝炎などの感染対策、災害対策などどれをとっても難問が山積しています。

 特に、国民病とも生活習慣病とも言われている糖尿病からの透析導入は、目の障害や神経障害も伴い大変深刻です。

 「腎不全で苦しむのは私たちだけでたくさんだ」との願いから腎不全対策を求めて結成されたのが私たちの東腎協です。その原点に立って、私たちの医療と福祉の向上をはかるとともに、糖尿病からの透析導入を増やさないための啓発活動も大変重要なテーマとなっています。

 また、今日的な課題として合併症などによる通院問題も厳しいものがあります。東京都の福祉改革ビジョンでは、在宅サービスの充実をうたっていますが、具体的に、透析患者が使いやすい移送手段やヘルパーの確保など、通院移送の新たな支援システムの策定を求めています。

 新世紀を迎え、改めて透析によって生命を維持されていることに感謝をし、いま、生きていることの喜びを感じます。グローバリゼイションと言われ、世界が狭くなった現在、一方に医者にもかかれず、薬を買うお金がないために命を落とす人々がいます。多くの矛盾に充ちた社会の中で、私たちはかけがえのない生命の大切さを実感します。不確実な時代と言われる今日、生命と暮らしを守るため、私たち役員一同、心新たに諸課題に取組みますので、会員皆さんのご協力をお願い申し上げます。

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最終更新日:2001年3月16日
作成:S.Tokura