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2002年頭あいさつ

患者の団結こそ力

東腎協会長 糸賀久夫
 今年は、東腎協結成30周年の節目の年にあたります。結成当時の会員はわずか200名でした。30年後の今日は7200名を数えるまでに拡大、成長いたしました。当時を振り返ると、今日では想像もできない厳しい透析環境の中、文字どおり命を削りながらの献身的な活動をした役員がおり、また、手探り状態の中、患者の命を救うために、不眠不休の努力をされた医療スタッフがいたことを忘れてはなりません。
 温故知新(古いことを学び、新しいものを創り出す)という言葉が論語にありますが、東腎協も30年前の原点に返って、これまでの歩みの中から新しい時代を創り出すための1年にしたいと思います。
 聖域なき構造改革を看板とする小泉政権下にあって、医療保険制度の改革が出されました。その内容は患者負担を2割から3割に「必要なとき」の引き上げ、総報酬制の導入による保険料の引き上げ、史上初の診療報酬本体の引き下げ、高齢者医療の1割負担(高収入者は10月から2割負担)の徹底など、患者にとっては、どれをとっても痛みの伴うものばかりであり、反対せざるを得ません。
 透析医療への影響も包括化の問題や医療費の引き下げなどで、不安材料がいっぱいです。
 一方、昨年7月に「東京発医療改革」の核である都立病院改革会議の報告が出され、都立病院再編整備の一環としてこれまで唯一腎不全センターのあった都立大久保病院まで当面は公社化、将来は民営化の方向が示されました。12月に出た「都立病院改革マスタープラン」でも、この報告を最大限尊重するとしています。このように患者をとりまく環境にはかつてないほど厳しい現実が迫っています。
 今日、私たちは世界的にみても、大変恵まれた医療レベルを享受していると思います。冒頭でも述べました「命をつなぐだけの医療」から「生活の質の向上」へと進歩してきました。この透析医療は、私たちにとって未来につながるかけがえのないものです。
 それだけに都民の理解を得ることが大切です。残念なことに、患者のモラルのなさを医療スタッフから指摘されることがあります。よりよい透析ライフを送るためには、モラルを守る賢い患者になりましょう。身近な医療スタッフの理解を得ることは、都民の理解を得る第一歩です。
 透析環境が厳しい今日、医療費はみんなの財産です。いまほど、患者の団結が必要な時はありません。これらは、すべての透析患者の問題であり、他人任せにすべきではないと思います。患者の団結こそ力です。
 誰のためでもない、自分のために参加する東腎協活動を本物の力に押し上げられるよう、この1年奮闘しましょう。
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最終更新日:2002年3月11日
作成:S.Tokura