在宅血液透析をはじめて

―フルマラソンに挑戦し続ける在宅血液透析患者さんの体験談―
米山 昌幸さん(東海大学病院 腎・血液透析センター)

略歴:38歳、透析歴11年11カ月、うち在宅血液透析(以下、在宅透析)歴1年10カ月(2003年1月現在)。1991年2月、26歳のときに神戸市の住吉川病院で血液透析を導入。93年3月に仕事の都合で埼玉県の透析施設に転院。2000年1月、突然その施設が月水金の夜間透析を止めてしまうことになり転院。同年8月、東海大学病院の斎藤明先生の外来を受診。10月から在宅透析トレーニングを受けて、2001年3月、在宅透析をスタート。

 日本における在宅血液透析は、名古屋地区を中心として徐々に増加していき、2000年末の在宅血液透析患者数は100名程度となっている。日常生活の活動度(ADL)が良好で、ぜひ普及させたい治療法です。そこで、関東で数少ない在宅血液透析の体験者を東腎協・青年部の学習会(昨年9月15日)にお招きし、導入の背景と実際についてご講演をお願いしました。
 この特集はその講演記録に、東京女子医科大学 腎臓病総合医療センター血液浄化部門教授 秋葉隆先生の解説を注釈として挿入まとめたものです。在宅血液透析とはどのようなものかを知るために、その実例をここに紹介します。


講演会当日の午前中に出場した
ハーフマラソンゴール後の写真。
タイムは1時間37分でした。

マラソンを走り続けて

 私は大学生の頃からフルマラソンを走っていますが、ベストタイムは87年に記録した3時間8分です。透析導入後は導入した年の11月に走って制限時間ギリギリの4時間48分で何とかゴールしました。その後走るのをしばらく止めていましたが、またジョギングを再開し99年9月頃から徐々に距離を伸ばしていき、これならできるのではないかと20キロマラソンから始めて、2000年1月にはフルマラソンが走れるまでになりました。
 そのときの記録は4時間19分でしたが、今年(2003年)の4月21日には3時間43分の透析導入後のベスト記録が出ました。今日もハーフマラソンの大会に出てからここに来ました。
 マラソンは透析をしなくてはならなくなった理由の一つでもあったわけですから、マラソンを走ることが決して誉められたものではありません。それでもなお走り続けるのは、今日も体に故障がなく走れて、体力が衰えていないことを確かめるためかもしれません。

在宅透析導入の動機

 透析導入後9年半経過して、副甲状腺機能亢進症と透析アミロイドーシスに不安を抱くようになりました。神戸で透析を導入したときの主治医の坂井瑠実先生(現坂井瑠実クリニック院長)は「副甲状腺機能亢進症は副甲状腺を取ってしまえばいいが、透析アミロイドーシスは一度発症してしまうとどうしようもない。手術などの対症療法はあるが元には戻らないので、透析アミロイドーシスの方を気にしないといけない」と教えてくださり、「もっとβ2ミクログロブリン(以下β2‐M)の値を下げなければいけない。病院にもっといいダイアライザーに替えてもらって、30分でも長くやってもらいなさい」とアドバイスしてくださいました。
 しかしβ2‐Mの値は2000年の1月と4月には45mg/gもありましたが、こちらの施設では長期透析患者の平均的な値だとして、とくに問題にされませんでした。
 透析アミロイドーシスにβ2‐Mだけが関係しているとはいえないかもしれませんが、主要なマーカーであることは間違いありません。日本透析医学会による至適透析条件としてβ2‐Mは30mg/g以下にすべき、とされています。リンの値は食事制限で何とかなりますが、β2‐Mは透析で抜くしかないのです。

施設透析の限界を認識

 これまで、週3回の4時間透析で9年間やってきましたが、2000年の夏にその限界を認識しました。
 長時間透析が有効であることは明らかであるにも拘わらず注1、それが行われず週3回4時間透析が一般的となっているのは、供給側の要因としては、現在の医療保険制度のもとで病院側に長時間透析を行うインセンティブ(やる気を起こさせるような刺激)がない、スタッフも少しでも早く終わって帰りたい、ということがあります。誰でも早く仕事を終えて帰りたいという気持ちはあるものですし、それはしょうがないことだとも思います。
 需要側の要因としては、長期透析による合併症を認知していない患者が多く、そういう患者は透析時間が5分でも10分でも短い方がよいと考えているからではないでしょうか。
 4時間透析をやって最後の患者さんが終われば、スタッフは電気を消して帰れるという施設がほとんどではないでしょうか。だから一番遅くに入る患者に「もう少し早く来れませんか」と早く入らなければいけない雰囲気をつくって、徐々に入る時間が早まればスタッフは早くに帰れるようになるわけです。少なくとも私が通院していた埼玉県の透析施設では遅く入る患者は好ましくないといった雰囲気がありました。
 このようなことが起こるのは、透析治療の終了時間が病院案内に明記されていないからだと思います。これは関東の透析施設の特徴だと思うのですが、このような施設がほとんどではないでしょうか注2。こんな状況では、透析時間を長くすることは到底無理です。

長時間透析・在宅透析のメリット

 長時間透析や在宅透析のメリットを知るようになった情報源は、腎友会や全腎協の機関誌ですが、決定的だったのは、かもめクリニックの金田浩先生のホームページ(http://www.kamome‐clinic.org/)を見てからです。
 金田先生は開院以来5時間透析を標準透析として行っていましたが、1998年8月より6時間透析を行っており、「長時間(6時間)透析+限定自由食」を提唱しています。金田先生の『21世紀の慢性透析療法を革命しよう』(東京医学社、2001年)は必読です。このように、心ある先生は長時間透析の効果についてはっきりと述べています。
 金田先生とのメールを通じて、自分には長時間透析が必要であり、長時間透析を実現させるには在宅透析しかないということが自分の中で決定的となりました。

在宅透析導入までの道のり

 しかし、在宅透析に踏み切るにあたって、乗り越えなければならない大きな障壁は、自己穿刺でした。それまで私は自己穿刺は無理だと思い込んでいて、長時間透析はしたいが在宅透析は無理だと決めつけて悩んでいました。
 そんな私を見かねた妻が、斎藤明先生(東海大学)の『ぜんじんきょう』連載「在宅血液透析について1〜3」174号(1999年7月6日号)、175号(同年9月6日号)、176号(同年11月6日号)を読んで、いくつかの施設に電話で問い合わせて、最終的に東海大学病院(神奈川県伊勢原市)に決めてさっさと斎藤先生の外来日に予約を入れ受診日を決めてしまいました。
 東海大学病院の斎藤先生の外来を受診したところ、先生は私の置かれた状況を理解してくださり、私達夫婦の施設透析に対する不満に耳を傾けてくださって、在宅透析に対する熱意を受け止めてくださいました。先生はすぐに「受け入れましょう」とおっしゃってその場で腎センターのスタッフの方々に紹介してくださいました。後で聞いたことですが、私の家は埼玉県ですので病院から遠いという理由で、当初スタッフの話し合いでは受け入れを断ろうということになっていたそうですが、斎藤先生のご決断で「受け入れましょう」ということになったそうです。
 当初トレーニングは40回と言われていましたが、毎週1回、土曜日にトレーニングに通って何とか23回で導入に漕ぎ着けました。施設で週3回4時間透析をやって、土曜日には透析手技の指導を受けながら実際に毎回自分で透析を行いました。

  表1 施設透析と在宅透析の比較
施設透析 在宅透析
時間的制約 夜間透析の入室時間が早い、4時間透析、週3回透析 透析時間、開始時間、透析頻度が基本的に自由。最低6時間の透析、中2日をつくらない
患者のできること・すべきこと 厳しい自己管理、体重増加を抑えるための水分制限、リンを抑えるための蛋白質制限 水分増加を注意しながら十分な蛋白質を摂取、十分なリンの摂取
患者の生命に対する責任の所在 患者は病院の治療方針に従わざるをえず、患者の生命はすべて通院施設に委ねられている 患者が望む治療を行うことが可能であり、自分が自分の生命に責任を持てる
費用 保険適用 保険適用だが、一部の物品が自費、水道・電気料金がかなりかかる

施設透析と在宅透析の違い

 実際に在宅透析を始めてみて、在宅透析がどのような点で施設透析と異なっているのか、表1にまとめてみました。
 関東の施設透析は、いろいろ調べてみましたが私の知る範囲では、夜間透析の入室時間が午後5〜6時と早いところがほとんどです。一方、在宅透析では透析開始時間は自由です。透析時間は病院から指導されているのは最低6時間透析を行うこと、透析間隔は中2日をつくらないようにと指導されている以外は基本的に自由です。それは透析装置の故障などのために透析できないときに、翌日に中2日で臨時透析を受けることになるであろうという理由からです。これは東海大学病院の事例であって、他の病院では違う指導方針でやっているところもあるでしょうが、私は夜中も土日も関係なくやっています。
 施設透析では厳しい自己管理が必要で、すべきこと、そしてできることは水分、リンの制限です。しかし、β2‐Mは透析の質とか時間にかかっているので自分にはどうしようもないことです。 これに対して、在宅透析では、長時間透析で蛋白質が失われ、またリンが抜け過ぎて低リン血症になる傾向があるので、水分増加に注意しながら、十分な蛋白質とリンを摂取する必要があります。
 患者の生命に対する責任の所在という点では、施設透析では患者は施設の治療方針に従わざるをえず、すべて施設に委ねられています。患者の要望もなかなか受け入れてもらえないし、一人だけ特別扱いはできないというのが施設の方針です。在宅透析では患者が望む治療が与えられ、自分の生命に自分で責任を持たせてもらえます。注3
 保険の適用については、施設透析では食費は自己負担になったところが多いようですが、それ以外はすべて保険適用です。在宅透析では脱脂綿、エタノールなど一部の物品が自費になる他に、水道代、電気料金がかなり掛かります。ただRO水の製造に使用されない水が大量に出ますので、その水は洗濯に使ったり風呂に溜めて沸かして入っています。

在宅透析の実際

  表2 透析条件
ダイアライザー PS‐1.9UW
血流量 200ml/分
透析液 キンダリーAF3号
透析液流量 450ml/分
除水速度 できるだけ0.4g/時以下

透析条件

 私の現在の透析条件は、表2の通りです。ダイアライザーは、PS‐1.9UWという高性能膜のものを使っています。血流量は200ml/分で、透析液はキンダリーAF3号という低カルシウムの透析液を使用しています。今、私はカルシウムの薬はまったく飲んでいません。
 透析液流量は450ml/分で、除水速度はできるだけ0.4g/時以下に抑えるようにしています。除水量が多いときには除水速度を上げるのではなく、透析時間を延ばすようにと指導されています。
 透析装置にはエンドトキシン(ET)カット・フィルターが付いていてETフリーになっています。
 透析時間は6gタンクの透析液を使うと8時間、9gタンクの透析液を使うと12時間透析ができます。8時間もしくは11時間透析を中1日もしくは連日で透析しています。 
 はじめの1ヵ月くらいは6〜7時間透析をやって夜中の2、3時に終わり回収してから寝ていました。それがかえって苦痛となっていたので、それだったら朝まで寝ながら長い時間やってそれから回収して起きてしまった方がよいと考え、夜中に始めて翌朝に終わるような終夜透析に切り替えました。
 透析時間は最初から1ヵ月100時間を超えており、次第に増加して200時間を超えることもあります。もちろん、長くやりさえすればいいというものでもありませんが、どのくらいがもっとも体調がよいか、まだ試行錯誤しながらやっているところです。                              

自己穿刺 

テープを張って皮膚を引っ張って皮膚
が切れやすくしておいて、皮膚と血管
が逃げないようにして穿刺します。

 私は穿刺作業も介助なしで一人で行っています。メディカルテープで皮膚を穿刺方向と逆方向に引っ張っておき、血管が切れやすくしておくことがポイントです。
 以前は毎回刺す場所を替えていたのですが、連日透析も取り入れたのをきっかけにボタンホール穿刺を始めてみました。まったく同じ針穴に刺せば血管の傷み方はかえって少ないことがわかりました。痛みもほとんどなく力もあまり入れずにスーッと針が血管に入っていきます。それでたいへん穿刺が楽になりました。
 施設透析では刺す人がいつも同じでないので難しいでしょうが、自分で刺す在宅透析ではまったく同じ針穴に同じ角度で刺すことはそれほど難しいことではありません。2週間ぐらい同じところに刺したら、また別のところに刺すようにしています。

透析装置の設置場所

 透析装置はリビングに設置しています。家族のいない別の部屋でやると飽きてしまうし、困ったときに介助者をすぐ呼べないので、リビングがよいと言われていましたが、他に場所がないということもあって、リビングで透析しています。
 皆さんはリビングに透析装置が入ることに抵抗があるかもしれませんが、2〜3日もすれば、もうその風景に慣れてしまい、すぐに違和感はなくなります。RO装置は洗濯機の隣に設置し、そこから透析装置までホースがつながっています。
 自宅は賃貸マンションなのですが大掛かりな工事が必要というわけではないので、設置する場所を心配することはありません。設置前に技師さんが下見に来てくれて配線やホースの長さを測って準備してくださり、在宅透析を開始する日には業者さんと一緒にきて設置してくれます。

介助者の役割

 私の場合、プライミングから片付けまですべて自分一人でやっています。介助者である妻の役割は透析しているときに家に居ることです。何か物を取ってほしいということもありますが、停電や地震など何があるかわからないので、不測の事態に備えてそばにいて声が届く範囲に居なければならないのです。それが介助者の精神的な負担になることもあるかもしれません。

外来受診

 外来の受診は初めのころは月2回でしたが、最近では1回です。在宅での注射は認められていないので、外来では血液検査結果をみてエポ注射をしてもらいます。
 外来受診時には、使用したダイアライザーや穿刺針を病院にもっていき、新しいダイアライザーや血液回路、透析前開始セットなどを受け取ってきます。ただし、透析液については重いし量もあるので、直接自宅に宅配してもらっています。

リビング゙の透析装置。プラ
イミングが終わったところ

在宅透析をはじめて

 在宅透析の意義としては、@在宅透析指導病院のもとで透析時間、開始時間、透析頻度などについて患者にかなりの自由裁量が与えられ、患者が自分の生命に対して責任を持たせてもらえること、A長時間透析・終夜透析が可能となり、患者のQOLが向上することでしょう。
 介助者の負担が大きい、東海大学病院から自宅が遠い、RO水の水質(ETの除去)に限界があるなどの問題もありますが、だからといって在宅透析をやらないということにはなりません。でもいつまで在宅透析を安定的に行えるのか、透析導入後10年も経過してから始めた在宅透析で長期透析の合併症の発症を防ぐことが可能かという不安はあります。

健常者に近い生活が可能に

 いつでも好きなだけ透析ができることによって、健常者により近い生活が送れるようになりました。それによって透析していることを引け目に感じることが少なくなったように思います。透析していても健常者と同じくらい元気で、同じくらい仕事ができるならいいじゃないかと思えるようになりました。それでも、24時間、透析しているわけではないので、在宅透析治療にも限界はあります。

在宅透析導入を考えている方へ

 在宅透析は「誰にでも」できる簡単な治療です。私は自己穿刺が怖くてずっと在宅透析を選択肢から外してきました。ですが実際にやってみると、どうってことはありませんでした。自己穿刺は誰にでもできますし、在宅透析も誰にでもできる簡単な治療なのです。東海大学病院の外来を気楽に受診してみるといいでしょう。トレーニング期間の多少の長い短いはあるかもしれませんが、やる気さえあれば、そして自己穿刺の精神的な壁を一歩踏み越えれば「誰にでも」できるはずです。
 また、医療事故の発生する確率は施設透析よりはるかに低いのではないかと思っています。他の患者からの感染もありえませんし、生理食塩水で返血していますので空気が混入する危険性もありません。ただ睡眠中に針が抜けてしまう危険はありますが、これは針をしっかり固定すればよいことです。血圧低下については、睡眠中も常に自動血圧計で監視しています。

透析治療に意識改革を

 私は透析施設の技師の方から「4時間透析で十分ですよ。それ以上やっても変わりませんよ」と何度も言われたことがあります。でもそれは間違っています。長い時間透析すれば確実に体調は改善します。食事制限も緩くなるので食事量も増えて十分な蛋白質も摂取できるようになります。今では私は食事制限をまったくしていません。
 5時間、できれば6時間透析を要求するべきだと思います。なかなか一人の患者がそのような要望はしにくいでしょうし、はっきり申し入れても聞き入れてもらえないことは私も経験したところです。そこで、患者会として病院側へ要望するという体制をつくっていかなければいけないのではないでしょうか注4。患者が医師、スタッフに何でも要望できる環境をつくるべきだと考えます。個々の患者が嫌な思いをしなくても済むようになってほしいものです。 


 以下は、東京女子医科大学腎臓病総合医療センター血液浄化部門教授 秋葉隆先生を取材し、解説して頂いたものです。

注1:長時間透析の有効性について

 長時間透析は短期的には良い透析である事は証明されている。リンやPTHのデータが良くなり、血圧も安定し、食事制限も緩くなり貧血も改善されエリスロポエチンの使用頻度が少なくなる。ただし、長期的には「長時間透析」という要因のみで、厚生労働省を説得できるようなしっかりしたエビデンス(臨床的根拠)はない。長時間透析をするような施設は一生懸命やっているから、他の要因も良好で長生きしているかもしれない。しっかりしたエビデンスを作るためには、ダブルブラインドといった医師も患者も知らない状態で2群に分けた臨床試験が必要となり、結果が分かるのに10年以上かかり、透析医療においては実際に実施する事も困難である。今、厚生労働省はしっかりしたエビデンスが無いものについてはお金は払えないといった論法で、診療報酬改訂における透析時間制の5時間以上の枠を廃止して一本化を決めた。

注2:夜間透析の透析終了時間

 夜間透析は5時以降に透析を開始した場合に保険請求の夜間加算が認められる。従って、関東では5時から6時の間に透析を開始し4時間透析をし、スタッフも帰宅しなくてはいけないので遅く開始すると切り上げて10時には終了する、という施設が多い。
 兵庫県下ではふつう透析終了時間が施設案内に明記されている。例えば坂井瑠実クリニック(神戸市)では、月水金の夜間透析治療の時間が午後5〜11時と明記されているので、7時までに入れば4時間透析ができるし、5時に入れば6時間透析が可能である。

注3:在宅透析と自己責任

 在宅透析は、医療側の診察、訪問支援さらに 近医による診療連携の下、医療側からの治療法や その維持に対する説明、指示を十分理解した上で 患者の自己責任において行うもので、医療側と患  者との信頼関係を前提として成り立っている。

注4:患者会活動について

 施設には情報開示と説明を求め、患者が納得して施設を選ぶことにより、良い透析施設が残っていくようにしていかなければならない。今は、病院は「長時間透析をしています」といった宣伝をしてはいけないので、患者どうしお互いの情報交換により、良い透析施設を紹介しあえば良いのではないか。
 最近一部で、「健康保険は最低限の医療を保証するもので、最高の医療が受けられるのもでもなく、高いレベルでの均一性も保証できないので、良い医療を受けたい人のために混合診療を導入してはどうかという意見がある。しかし透析のような高額医療に混合診療を導入する事は危険である。透析導入が高齢化する中で、長年社会に貢献してきた人が年金生活に入ったとき、「お金がある人だけ良い医療が受けられます」というのでは困る。
 医療はその国の国力に応じたものにならざるをえない。また、財源も決まっており、その配分が問題となる。だから、患者会運動としては、700人に1人が透析者である現状からして、身のまわりの誰もがいつ透析になるか分からないのだから、安心して誰でも透析医療が受けられるシステムの維持を、国民の共感を得られる形でおしすすめるように取り組むことが必要ではないだろうか。


編集部より
 2002年12月24日朝日新聞朝刊1面に
「21万人の患者に朗報 人工透析自宅でも」の記事が載りました。帝人が米国のベンチャーと共同開発した在宅用の小型血液透析装置を、厚生労働省に承認申請したと報じたものです。今後の経過が注目されます。

 透析診療報酬の夜間加算は、午後5時以降に開始した場合、もしくは、午後9時以降に終了した場合、または、休日に行った場合、500点が加算されます。

東腎協2003年1月21日 No.146


最終更新日:2003年5月24日
作成:ATARI