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共に生きる L

加藤  茂

ポピー風にゆらゆら揺れる

 1月中旬の日曜日のことでした。
 16時過ぎ外出から自宅へ戻ってきたら一軒先のアパートから大きな煙が出ていました。焚き火にしてはものすごい勢いの煙、サイレンも鳴っていないし、が、そばに行ってみると2階の部屋から火が噴き出していました。
 しばらくしてからやっと消防車が到着。一時は、我が家にも火が飛び移ってくるかな、と不安になりましたが、火は延焼することなく消し止められました。初めて目の当たりに見る火事に驚くやら恐怖心が湧くやら、とにかく一人も焼け出された人がいなかったのが不幸中の幸いでした。

 腎臓病の患者会は、30年の歴史を経るようになりました。私の所属する腎友会でも30周年総会がありました。そこで話されたのは、最近透析に入った人はなかなか腎友会に入会しない、ということでした。当時の悲惨な「金の切れ目が命の切れ目」を知っている人も少なくなってしまいました。
 植物学者・牧野富太郎の植物画の展覧会が3月〜4月にかけて新宿小田急美術館で開催されたので見に行きました。植物に対する研究の熱意には驚きました。そして、それを記録するのに描いた画は、リアルである上に本質をよくついています。植物画にも才能があったんだなあ、と感心してしまいました。私もこのくらい描けたらいいだろうな、とうらやましくも思いました。

 今年は、桜の開花が例年よりも早かったのですが、まだ桜の開花が始まったばかりの週末の日に千鳥が淵に行きました。花見の人はまだ少なかったのですが、遊歩道を散策して近くにある山種美術館に寄りました。「桜さくらサクラ」展を開催していました。いろいろな日本画家による桜の絵の饗宴です。春を代表する桜、花もいいけれど描かれた桜の花もよかったです。
 本格的な春になってくると春風によく似合う花、それはポピーだと思います。
 ポピーを広辞苑でひくと「ケシ。ケシ科ケシ属の総称」とあります。
 ひょろひょろとのびる茎から赤、黄、橙色の花が風にゆらゆらと揺れる光景を見ていると、ほんとうにいい春の日だなあ、と思ってしまうのです。

東腎協 2001年5月25日 bP38

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最終更新日:2001年6月24日
作成:H・O