リレーエッセイ・148

「ドナー家族の話をきく会」で衝撃


東腎協常任幹事 小関 盛通
(柳原腎クリニック健腎会)

 16歳で腎炎を発症し、27歳で透析導入して7年目を迎えました。  本年度より青年部部長を仰せ付かり大変重責を感じております。  昨年10月、私は、講演会に出席をし、大変衝撃を受けました。それは「いのちを考えるドナー(臓器提供者)家族の話を聞く会」という講演会でした。

 「人の命にOnce more,Once Againはありません」という言葉から始まりました。一人目にお話いただいた方は最愛の娘さんが米国ボストン留学中に交通事故被害に遭い、本人、家族の意思のもと、脳死下での臓器移植を決断した事により、6名のアメリカ人の健康と、その家族らの笑顔を取り戻すことに貢献しました。  二人目の方は次女で愛娘(当時2歳9ヶ月)が交通事故に遭い、脳死状態を経て心臓停止後、臓器提供を行う。3人目の方は次男の愛息が交通事故の被害に遭い、脳死を経て心臓停止後、臓器提供を行う。最後の方は愛妻がくも膜下動脈瘤破裂で亡くなり、本人の意思にもとづきギフトオブライフを行う。以上4名のドナー家族の貴重な体験談を聞く事が出来ました。勇気と決断の時を聞かせていただきました。3人目の方の父親は次の事を言っています。「いろんな人に世話になった体だ、今度はお返しよう。人は死んでしまえば自然に帰る。息子は移植なんて考えたこともなかっただろうが、親が責任をもって判断してやればいい。」気丈な父親の言葉に胸の奥が締め付けられました。  

 ドナーの家族の中には、遺志を生かすことができたと思う人もいれば、周囲からの理解を得られず睡眠薬を手放なせなくなるなど、わだかまりを持ち続ける人もいるそうです。  この会を主催されたドナー家族会の会長は「実は、私たちは本当に(社会から)感謝されているのだろうか」と悩み続ける人も多いとのことでした。私は、ドナー家族の話を聞いて臓器移植医療について、正直、戸惑いや困惑をしました。しかし、一人でも多くの人が助かることを祈り、提供してくださる方々がいる以上、移植医療は向上しなければならないと思いましたし、向上していく過程で、やはりドナー家族に対する心のケアが十分行われる体制が早期に確立されることを願わずにはいられません。  

 話は変わりますが、透析患者が年々増加する一方で東腎協は、年々会員が減少しているのが現状です。会員拡大無くして公費医療制度維持はありえません。一人一人が協力をして、命と暮らしを守る活動を行いましょう。また、積極的に交流しましょう。

「仲間・友情とは、喜びを倍にし、悲しみを半分にする」

東腎協2003年5月25日 No.148


最終更新日:2003年7月1日
作成:k.morimichi