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リレーエッセイ134

透析をして世界が広がったオーストラリア・透析ツアー記

押山大作 小池病院腎友会小池会 東腎協常任幹事
押山大作さんの写真
 透析になってから、「世界が広がった」というのは、変に思われるかもしれません。しかし、仕事や東腎協の活動を通じて、自分の世界が確かに広がりました。予想していませんでしたが、すばらしいことだと思っています。 
東腎協には二年前から、微力ながら活動に参加しています。辛い身体で精一杯、腎臓病患者のために活動している先輩諸氏に会え、知らなかった世界を教えられました。
 一方、仕事(ケアンズ透析センター)では、オーストラリアのケアンズに行かれる、前向きな患者さんに数多くお会いし、刺激を受けました。
そんな中、オーストラリアの透析患者ナンシーさんと知り合いました。そして、今年の三月、彼女の企画した透析ツアーに夫婦で参加しました。
 海辺の美しい街アデレード(南オーストラリア州:サウスオーストラリア: SA州都)から内陸へ約500Km、地殻変動と長い年月の風化作用で巨大なクレーター状の険しい山脈を形作る、FLINDERS RANGE国立公園 (SA)の中にある「ウィルピナ・パウンド・リゾート」に一週間のんびり滞在する透析ツアー『透析ツアー、ウィルピナ・パウンドリゾート滞在』です。
参加は、透析患者11名を含む28名。日本人は私たちと、もう一組の夫婦だけでした。いい味を醸し出している夫婦や、明るく優しさがにじみ出ているスタッフたちに出会いました。
 最初にびっくりしたのは透析です。コテージの一部屋が透析室に早変わりです。透析機械を4台と浄水装置をアデレードから運んで来て設置。
ここで1週間3回の透析を受けます。スタッフはナース3人、技師1人が出張。暖かく迎えてくれ、快適な透析を受けられました。透析中、クッキーや紅茶のサービスもあり、また、食事はレストランからのもので、至れり尽くせりでした。
 観光をいろいろ楽しみましたが、セスナの遊覧飛行では、圧倒的な大きさの国立公園の地形がはっきり分かり、また、夕霧に虹が真円を描いて七色に輝くところも見られました。感動! 日本では見られない壮大な景色、地形でした。
夕食はレストランで毎晩好きなものを注文できます。前菜、スープ、メイン、デザートとちょっと食べ過ぎたかも知れません。
夕食が終って外に出ると、満天の星空。美しくて声も出ません。天の川、南十字、オリオン座、大マゼラン星雲などがくっきり。妻とのんびり夜風に吹かれて星を眺められる幸せ、 貴重な時間でした。流れる星も見られました。
 地上に目を移すとそこには野生のカンガルー。ホテルの庭に草を食べに来ています。母親カンガルーが子供にオッパイをあげるところも初めて見ました。とても可愛いですよ。
帰りは、アデレートで、ショッピングやコアラを抱いたりして一日を過ごしました。 このようにゆったりした時間を楽しんだツアーでした。来年の三月も企画するそうです。
QGB01115@nifty.ne.jp
東腎協  2000年7月25日 No.134
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最終更新日時:2001年4月15日
確認:K.Atari