会員さん訪問第84回

個人タクシーに転向これからは妻と一緒に旅行


高中腎友会

青木 和夫さん

透析導入年:1999年(平成10年)


 今回は、個人タクシーの運転手で高島平中央病院付属西台ロイヤル診療所で、透析を行っている青木さんを、東腎協の榊原副会長と訪ねました。取材当日は、8月の猛暑の中でしたが、暑さを忘れてしまうくらい、爽やかな方でした。


透析は頭で考えるより楽


―透析導入までの経緯は。


青木 昭和59年に蛋白尿が出て昭和64年に腎生検を行い、IgA腎症と診断されました。始めは月1回の通院と投薬を続けていました。平成9年に検査入院をし、その後は食事療法などを行なっていましたが平成10年に透析導入となりました。現在透析歴4年です。


―導入時の気持はどうでしたか。


青木 導入前にシャントを作っておいたのですが、その時は、もう「透析から逃れないのだ」と思い、やはりショックは大きかったです。しかし、実際に透析導入となると苦痛も無く頭で考えていたより楽でしたので、精神状態も良かったと思います。


―導入後、生活に変化はありましたか。


青木 民間のタクシー会社に勤めていましたが、透析のために勤務体系を変えてもらったりしました。
 透析が火木土なので仕事は月水金なのですが、稼ぎ時の金曜日にいつも仕事に就いて肩身が狭かったです。
 特に同僚から不満の声が出るといったことは無かったのですが、やはり収入に繋がることなので、自分でも気兼ねしました。


個人タクシーの道へ


 そんな事もあり、個人タクシーの道を考えました。


―タクシー会社と個人タクシーではどのような違いがあるのですか。


青木 透析に合わせた勤務時間で仕事ができるし、やはり、自由が効くということが個人タクシーに転向した最大の理由です。身体障害者ということで個人タクシーは無理だと思っていたのですが、色々と調べてみると一定の条件を満たしていれば大丈夫だと分かり、一念発起して個人タクシーに転向することにしました。


個人タクシーへ向けて受験勉強


―個人タクシーに転向するためにどのような努力をされたのですか。


青木 個人タクシーとして営業するためには、資格取得の試験合格が必須なのですが、私は民間のタクシー会社に10年以上務めていたので、地理試験は免除されました。他に道路運送法と運輸規則という試験課目があり、合格を目指して約1年近くを受験準備に当てました。毎週日曜日に行われる個人タクシー組合の勉強会にも、出席しました。透析中は、良い勉強時間になりました。


試験は無事合格


―無事に合格できたのですね。


青木 運が良かったのです。800人の受験者中、500人の合格でした。透析導入後、体調も良く精神的にも充実していたので合格できたと思います。


―個人タクシーに転向してからの生活はどうですか。


青木 とにかく時間に自由ができて体が楽になりました。透析を行っていても仕事に影響することもなくなりました。
ただ、景気が悪いので収入面では大変です。


―タクシーを運転している中での苦労談はありますか。


青木 色々あります。勤務が夜間なので酔ったお客さんに脅されたり…酔ったお客さんを乗せた時は、とにかく愛想を良くして早く降りてもらうようにします。乗り逃げされることもあります。たまに話好きなお客さんがいて、運賃を貰いドアを開けても、いつまでも話していることなどあると、さすがに閉口します。


妻と一緒に旅行


―色々と苦労があるのですね。現在、仕事以外にはどのような楽しみがありますか。


青木 子供も成人したので妻と一緒に旅行を楽しんだりしています。昨年は透析導入後、初めての海外旅行でハワイに行きました。この夏も北海道旅行に行きましたし、9月には十和田湖や花巻温泉を廻る予定です。


―何か悩みとかはありますか。


青木 透析を受けていても元気なので、割り切っています。悩んで透析が不要になるものでも無いので前向きに考えています。 周りの透析仲間が元気だと自分も元気になれるので、自分も良い雰囲気を作るように心掛けています。


―東腎協に対する要望などはありますか。


青木 海外旅行を透析患者でも楽しめるために、海外の透析施設の情報を提供したり、気楽に旅行ができる手助けをお願いします。透析を受けながらも楽しく生活を送れるような方向性を、会員に与えてもらいたいと思います。


―最後に今後の夢などがあれば、お話し下さい


青木 夢という程のものでは無いのですが、家族には心配をかけたので、妻、長女、長男、そして私を含め、明るく暮らして行きたいと思います。 特に妻には食事の管理を始め、苦労をかけたので、一緒に旅行などして労をねぎらいたいです。透析とは一生、離れる訳にはいかないのですから、楽しく上手に付き合っていきたいです。

〈あとがき〉
最後まで明るく力強く答えていただきました。
青木さんの前向きな考え方に、私達も、とても勇気づけられる思いでした。
(編集部・註)海外透析施設の情報は東腎協ホームページからリンクで見ることができます。また、事務局にもお問い合せ下さい。

 東腎協 2002年10月25日 145

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更新日時:H14.12.21
作成:M.KOSEKI